悪魔が人間をペットにする話 第1話「あの…」
「口を開くな」
「は、はい…」
出来事は数時間前に遡る。
少し買い出しに出ていただけなのに、気が付けば迷い込んでいた。いや迷い込んだ?気を失った?よくわからないけれどとにかく、気が付けば見知らぬ土地にいた。土地というか、もう世界そのものが違うみたいだ。
空は夕焼けどころの騒ぎではないほどに赤く、本当に真っ赤。多分この世界のお昼時?暗いわけではなかったし。
絵に描いたような西洋風の街並みで、明らかに元いた日本の商店街ではない。街にいる人たちも頭に角が生えていたり体が半分ヘビだったりと怪物ばかりだ。
その光景は例えるなら、「なんかおしゃれな地獄」。いやおしゃれな地獄ってなんだよ。
でもそう例えるしかないほどには、赤く黒々とした世界だった。
3313