夢という名の走馬灯【萩松】ピッ(メールのプッシュ音、画面には送信完了の文字)
「じ、陣平ちゃん?一体どうしたって……」
「陣平ちゃん?」
松田は萩原の腕にしがみつき、顔を伏せている。ごつい見た目とは裏腹に、その身体は小刻みに震えていた。泣いているのだろうか。急なことで萩原は混乱しているように見える。プライドが高く、気位の高い松田がこんな姿を見せるなんて滅多にないからである。
「夢……」
「え?」
「夢を見たんだ。大きな斧を持った死神が、その炎で俺のことを焼き尽くしていく夢を。」
「……」
可笑しな話であった。他人に言ったら、夢ごときに何を怯えているんだと笑われるだろう。でも萩原なら否定しない。
「そりゃあ怖かったな、熱くて痛かったろ?よく頑張ったよ。」
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