充電「……大悟。」
「どうしたんですか、流司くん。」
「……。」
流司くんは時々、服の裾を引いてきて何も言わない時がある。
「俺、明日朝から仕事なので泊まれないですけどいいですか。」
「うん。」と静かな返事が返ってきた。
置いてあるクッションを腰とベッドの間に挟み、ベッドに寄りかかる。ブランケットを用意して両腕を広げた。
「どうぞ。」
「ありがと。」
流司くんは俺に体を預け、脇の下から腕を通して抱きしめてくれる。抱き締め返し、横に置いていたブランケットをかけた。
「終電までには帰らすから。」
「はい。大丈夫ですよ。」
こうなった時は大体何も喋らずに数時間そのままだ。流司くんなりの充電方法なのだろう。
キングたる流司くんのこういう部分を見られるのは恋人である俺の特権だ。
数分後、抱きしめられていた腕が脱力し、寝息が聞こえてきた。
「おやすみなさい、流司くん。」