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    hisuisuire0118

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    hisuisuire0118

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    吸血鬼パロ🐶🐱

    赤薔薇が食べられるとき赤き薔薇は夜に咲く

    「……流司くん?」
    皆が帰り、静まり返った駐車場に止まったままの窓が開いた車を大きな人影が覗く。
    「っ、大悟……!」
    それは、後輩であり恋人である大悟だった。
    最悪だ。人工血液を飲んでいる所を見られた。
    オレの血には吸血鬼の血が混ざっている。遠い遠い親戚に吸血鬼とやらがいたらしい。子供の頃から両親に聞かされてきた。
    とはいえ、吸血鬼の血は随分と薄くなっているらしく、太陽光は少し苦手だが、鏡にも映る、眷属も作れない、十字架や大蒜も問題は無い。ただ1つ、吸血鬼らしいところがあると言えば、定期的に血液を摂取する必要があるだけだ。
    普段は家にいるうちに人工血液を摂取しておくのだが、最近多忙が続いていたせいもあり、稽古前に人工血液を飲むのを忘れてしまった。
    その上稽古が長引いたこともあり、家まで持ちそうになく車に置いていた緊急用の血液バッグを飲んでいたところ、こうなったという訳だ。
    「流司、くん。なに、飲んで、るんですか、それ、血……?」
    「そんな訳無いだろ、トマトジュースだよ。」
    すかさずに誤魔化す。普段からよくトマトジュースを飲んでいるのは大悟も見ているはずだ。
    「嘘、ですね。」
    「は?何言って……んぅっ」
    突然大悟は車の窓に首を突っ込み、オレの体を引き寄せて唇を重ね合わせてきた。咄嗟に抵抗するがかなり強い力で肩を掴まれており離れることが出来ない。酸欠でまともに抵抗も出来なくなった頃、ようやく解放された。
    「トマトジュースの味じゃないですね。血の味がします。」
    「いい度胸してんなお前……。」
    ここまでバレてしまっては誤魔化すのは不可能だろう。仕方なく大悟を助手席に乗せ、事情を説明した。大悟は案外動揺していないようだった。
    「人工血液って美味しいんですか?」
    「あんま美味しいもんじゃねぇよ。」
    最初に聞くことかそれかと思いつつ、答える。
    「じゃあ、やっぱり本物の人間の血液の方が美味しかったりするもんなんですか。」
    「多分味は違うんだと思うけど、飲んだことないからわかんねぇ。」
    目の前で血を見れば多少は食欲に駆られたりはするが、人から直接血液の摂取したことはない。やはり味が違ったりするものなのだろうか。
    「今まで1度も?」
    「1度も。襲ってるのと変わんねぇし。そもそもオレに吸血鬼の血が混ざってるの言ったのも初めてだからな。」
    このことは両親しか知らなかった。付き合いの長い俳優仲間にも言ったことは無い。
    「じゃあ、俺、流司くんの初めての相手になりたいです!」
    「は?」
    「俺の血吸ってください。人工血液より美味しいかもしれないですよ?」
    光に満ちた目をこちらに向ける。
    「なんのメリットがあってそんなこと言ってんだ。弱みでも握った気か?」
    吸血鬼、なんて信じられることでは無いだろうが、万が一だ。周りにバレれば面倒なことになる。
    「弱みなんてまさか。俺は流司くんの力になりたいだけですよ。だから、」
    そう言うと、大悟は自らの腕に爪を立て、傷を作った。みるみる血が溢れていく。
    「何してんだ!血が……。」
    血を目の前にした途端、欲が溢れそうになり、硬直する。思わず、唾を飲み込んだ。
    「はい、どうぞ。」
    人の生き血は吸血鬼にとってご馳走のようなものだ。自分の中の血がそれを主張してくる。
    「あ、腕より首から方がいいですか?今ボタン外しますね。」
    「分かった!飲むから!そのままでいろ。」
    オレたちにとって体は丸ごと売り物だ。これ以上傷を増やさせたくない。
    「痛かったら言えよ。」
    差し出された腕から溢れる血を吸うように飲む。口の中に血の味が広がり芳醇な香りに支配される。
    人工血液と全く違う。吸血鬼にとっての生き血の価値が嫌という程分かってしまった。
    「……ぷは。もういい。」
    「もういいんですか?」
    「ああ。ん、絆創膏。」
    グローブボックスから絆創膏を取りだし、貼ってやる。
    「吸いたくなったらいつでも言ってください。すぐ駆けつけるんで。」
    大悟は貼った絆創膏を愛しそうに眺める。
    「ったく、何が目的なんだよ。」
    呆れ気味に訊ねると「強いて言うなら、独占欲?ですかね。」と返ってきた。
    「流司くんの初めての相手になれるなんて、これとないチャンスじゃないですか。役得だなぁと思って!」
    「ほんとにオレのこと好きだな。」
    「ええ、それはもちろん。」
    さも当たり前のように言葉が返ってきてかえって恥ずかしくなる。
    「帰るとこだったんだろ。家まで送る。」
    鍵を閉め、エンジンをかけアクセルを踏む。
    「ありがとうございます。明日稽古休みですし、俺オフなんですけど流司くん仕事ですか?」
    「明日は午後から。なんだよ、家来たいのか?」
    大悟の言いたいことを見透かしたように聞いてみる。
    「いいんですか!それ聞こうと思って流司くん探してたんです。」
    しっぽが見えそうな勢いだ。
    「そうかよ。」と返し、自宅の方の道へ曲がる。
    窓の外には三日月が浮かんでいた、
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