主導権「あ"……?」
目が覚めると目の前には恋人である大梧。
妙な体の火照りを感じる。
薄暗い視界とあまり回っていない頭では状況が上手く理解できない。
「あ、戻ってきましたね、流司くん。」
「え……?」
事態の把握ができる前に大梧は確実に良いところを突いてくる。
シている最中に落ちたのだとそこでようやく気がついた。大梧の上に乗ったまま落ちていたらしい。
「ん"あ"……っや、んぅっ!」
咄嗟に声を抑えようと口に手を当てたものの、抑えきれない声が漏れた。
「馬鹿!う、ごくな、っ……!」
中のいい所を的確に突かれているせいでいつもよりも声を抑えられない。咄嗟に体を逃がそうとすると、腰を抱かれ、押し倒された。
「ちゃんと意識ないと意味無いっすからね。」
押し倒しておきながらもオレの負担にならないようにわざわざ腰を抱いてくるのはこいつらしい。
「逃げ、ねぇから、落ち着けって。」
息も絶え絶えになりながら、軽くキスしてやり、落ち着かせる。オレが落ちている間、かなり我慢していたのだろう。
今夜は主導権を握らせるしか無さそうだ。
ベッドの横に置きっぱなしになっていた水を飲み干し、放り投げる。
「落ちてた分、好きにしろよ。」
「……いいんですか?」
大梧は少し困惑の混ざったような表情でそう確認してくる。
「どうせ、やめる気ねぇだろ。」
幸いなことに明日はオフだ。オレ自身も手加減させる気など毛頭なかった。
大悟が押し留めようとしていた欲をほんの少し煽ってやれば十分だ。
「ちゃんと、ヨくしてくれよ?」