過保護 なんだか喉が渇いたな。そう思って、霧香はソファから立ち上がり冷蔵庫に向かう。
「ね、アンタどこ行くの」
「どこって……冷蔵庫だけど」
「そう」
デスクで資料を読んでいたミレイユに呼び止められる。別に外に出ていく訳でもないのに、不思議なミレイユ。霧香は首を傾げながら、すっからかんの冷蔵庫からパックのリンゴジュースを取り出す。透き通った黄金色の液体がなみなみグラスを満たした。長らく冷えていたので甘いとか言うより『冷たい』の味がする。半分ぐらい飲んだところでグラスを置いて、霧香はこんなに注がなくてもよかったかなぁ、と思った。別に喉が渇いているとか甘いものが欲しいという訳ではなかったみたいで、まだどこか満たされないままソファに戻る。
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