無双青+黄ルートのそ~へき 同盟の盟主は改めて、目の前のふたりを睥睨する。
仕立てのいい外套は裾がほつれ、泥で汚れている。髪も膚もどこか煤けて埃っぽく、頬はじゃっかん痩け目も落ちくぼんで窶れている。――けれどその眼光だけが不似合いなくらいに爛爛とぎらついていて、まだ闘志が失われていないことを伺わせた。
それが厄介だった。
これがもう、やる気も生気も失われているんだったら、さっさと処分して終いにするところだ。
このふたりは、同盟軍が陣を敷いており、幸いにしてそこに盟主がいると聞きつけて、丸腰でのこのこやってきた愚か者どもである。捕縛の際にも抵抗はなく、むしろ望んでこの扱いを受け入れたと聞いている。
そうすればクロードは出て行かざるを得ない。ローレンツに任せるわけにもいかなかった――ひとりはローレンツと旧知の仲だったからだ。
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