それにしたって「んじゃ、ファウストがくじ引きで一等をとったことを祝して、乾杯」
「乾杯」
今日も今日とて二人で晩酌をしている。透き通った紅色の綺麗な葡萄酒を手に入れたから、翌日に予定のないこの日に飲もうと少し前から話していたのだ。魔法舎の子どもたち主催の魔法舎パーティが昼間に開かれることにはなったが、夜は空いているはずだからと、特に予定をずらすことはしなかった。
「君は何等だったっけ?」
「俺は五等。おっきな景品は四等までだから、参加賞だな」
「キャンディか。君も作るのを手伝ったの?」
「そう。だからミチルが申し訳無さそうにしてさ。一緒に作ってもらったのにって。別に良いのにさ」
「良い子だな」
「な」
二人は和やかに笑みを浮かべ、グラスを傾ける。優しい話題で飲むのに相応しい、どこか可愛らしい味の美酒だった。どちらともなく美味いなと言って、相手へ注いでいく。
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