それは男のロマンってヤツ「な、何そのカッコ」
「おかえり」
ブロロ……と噴かされたエンジン音が遠くに響く金曜の午後九時。
ご飯を作って待ってるね、と足繁く通う彼女からの通知に心を躍らせ帰宅した俺は、玄関のドアを開けたその奥に広がる光景に、ただ立ち尽くすしかなかった。
「ご飯にする? お風呂にする? それとも……」
しおらしく、伏し目がちな眼差しがやがて俺を射止める。
可憐な手付きが首に掛けたエプロンを取ると、その下からは到底彼女が持っているはずの無い制服が、胸元のスカーフが揺れるコスチュームがお披露目された。
「な、なな……、……セーラー服……」
ガシャン。持っていたコンビニの袋が手から滑り降ちる。と同時にはらり、とエプロンが音を立てずに床に捨てられた。学園の女王に君臨した経験を持つ彼女の所作は、一つ一つが優雅で目を奪われる。ストリップショーを見ているわけでもないのに、どうしてかイケナイ気持ちになってきた。卒業から三年。あどけなさが残っていた少女は既に美しい女性へと成長し、本物のクイーンへの階段を登りつつある。
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