依頼:害悪ライダーに制裁を下してください 墨を流したような空に広がる星、空と同じ色の黒い海。
深海では聞こえなかった砂浜を叩く波の音を聞きながら、フロイドは海に沿って伸びる細長い道路の隅で、大きなマジカルホイールに跨って空を見上げていた。深海のような黒く深い青色のボディはメタルの輝きを忘れることなく、星の明かりでキラキラと光っている。
フロイドは「ハァ」と白い息を吐いてから、黒いフルフェイスのヘルメットをかぶった。キュイイ、と機械的な音がして、目の前が青く光る。夜間モードと称したその機能で少しだけ視界が明るくなり、バーチャルアシスタントの音声が流れた。
『こんばんは、フロイド・リーチさん。素敵な夜のツーリングにBGMはいかがですか?』
「あは、じゃあメロディオブサンセット」
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