獅子に翼「見せてみぃ」
鶴野の声が室内に鋭く響く。
デスクの前にいた組員は頷き、ポケットからUSBを取り出してデスクにおいた。
「防犯カメラの映像です」
組員を一瞥すると、USBをノートPCに差し込んだ。
サングラスを外しデスクの上に乱雑に放ると、USBの中に一つだけ入った動画ファイルを参照する。
再生された動画には、常夜灯の下で5人の男たちに殴られ続ける仲間の姿が浮かび上がっていた。
倒れ込んだ仲間を囲んだ影が退き、一人の男が割って入ってきた。男はしゃがみ込むと、何かをひとしきり話しかけている。
その後、重い拳が振り上げられて何度も落とされた。
振りかざす拳には、手首から手の甲にかけて特徴的なギザギザとした形の痣があり、鶴野は眉をひそめながらその特徴を脳に刻み込んだ。
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