凛蜂 ひまわりが満開に咲き誇っていた。
まあ、ひまわり畑にきたのだから、当たり前のことではあるのだけれども。
空から降り注ぐ白い日差しに、たまらず手のひらで日除けをした。対して目の前の男は帽子をかぶっているから平気なのか、ただただ楽しそうに空を見上げるひまわりの群生を眺めていた。
どうやらひまわりの迷路もあるらしく、それに興味を持ったのか行こう行こうと手を引かれた。正直好みに纏わりつくねっとりとした暑さと暴力的なまでに派手派手しい色彩にうんざりして今すぐにでも家に帰りたいと願っていたのだが、こいつは特に気にならないらしい。頭がめでたいと暑さも感じなくなるのだろうか。であれば今すぐにでもめでたくなりたいものだ。そう思ってしまうくらいにこの暑さは自身の気力も体力も奪って行った。
1936