cuddleシャワールームから漏れ聞こえる楽し気な歌声は、三年前に同期の一人として挨拶を交わした瞬間から恋に落ちたサイボーグの青年のものだった。
今までオンラインで聞きなじんだ愛しい人の声が、跳ねる水音に交じって、少し調子の外れたメロディーを奏でている。
ああ、やばい。俺、ほんとにふーちゃんの家にいる。
昨晩、三年想い続けた彼にやっと会うことができて、言葉にできない感情が溢れてやまない浮奇を、ファルガーは何も言わずにそのあたたかい腕で優しく抱きしめてくれた。浮奇はその奇跡のような時間を思い出して、その腕の持ち主が今同じ屋根の下でシャワーを浴びているという事実に頭がおかしくなりそうだった。
一旦気持ちを落ち着けようと1階のソファを後にして自分の寝室に戻っても、一度意識してしまった彼の存在は消えるどころか浮奇の頭の中で膨らんでいく。
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