ひとのふりみて「有馬さんって、いつもニコニコしてますよね〜」
「え〜、そうかなぁ」
眠気が襲う午後14時。
そんな睡魔から逃れるように駆け込んだ給湯室の一角。同じく休憩だとマイカップを持って現れた先輩の有馬さんとの雑談中、つい日ごろから思っていたことをポロッとこぼした。
しかし当の本人は自覚が無かったのか、意識すらしていなかったのか、よく分からないなぁ〜と首を傾げていた。
「そうですよお。営業もお手上げの、めちゃくちゃ曲者口悪クライアントとの打ち合わせでも、終始笑顔崩さないの凄かったです」
「そんなに悪い人じゃないと思ったけどなあ。最終的にこちらの言い分聞いてくれたし」
上司の出張のお土産を摘みながら、なんてこと無いという表情で話す有馬さん。
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