舞首 頭蓋骨が三つ。睦まじく坐して並んでいる。
「さて…残るは、あなた方だけになってしまいました。」
彼らの正面に裾裁きも涼しく膝を折る男があった。
呼ぶ人は、彼を彼の生業で呼ぶ。すなわち、薬売り、と。
「この地でかつて大勢の人が死んだというのは、どうやら確からしい。
だが、一体どれほど前のことやら……そもそも、何が起こったのかすら、今となっては知る人がないのです。
手がかりもありません。……こうも、端から端まで、お骨ばかりでは、ね。」
男は、目玉を振り子に一間を見回した。箪笥や文机のように壁に添い窓に寄る、一そろいの人の骨が幾多、しな垂れ、倒れ、伏し、ぶら下がっていた。
全て頭蓋骨には筆による書き文字がしてある。いの八、ろの六、やの一五。
1874