無題シミュレータ訓練を終えたエグザべを迎えたのは、タオルと水のボトルを持ったシャリアだった。近くにあったベンチにエグザべと共に腰を下ろすと、受け取ったタオルで汗を拭うエグザべに「お疲れ様でした」と微笑んだ。
「珍しいですね、貴方がここに来るなんて」
「たまには頑張る部下の様子も見ておかないとね。……特に、悩みを抱えているような子はね」
シャリアの言葉に、ボトルの蓋を開けようとしていた手が止まる。
エグザべか悩んでいたのは事実だ。しかしまさか彼本人が普段近寄らないMS訓練用シミュレータ室に来てまで言及するとは。シャリアが鋭い、というかこちらのことを見透かすのはいつものことであったが、まさか彼から触れてくるとは思わなかった。
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