2日目夜
カカシを神威で送り届けたその日の夜深く、オビトは人が滅多に踏み入ることがない神聖な山中の轟轟と唸る瀑布を前に立ち、とある人物の名前を呼んだ。
「鬼鮫、来たぞ」
するとその滝の奥に人影がぼんやりと見え、やがて滝の水流をものともせず鬼鮫、と呼びかけられた人物が姿をあらわした。
「お待ちしておりました、今夜来るという連絡を狐が届けに来た時は驚きましたよ。眷属の力である稲荷を使役するあたり、随分と急ぎの用事であると御見受けしますが」
「マダラ由来の力を使いたくないというのが切実な思いではあるが、お前に露骨に連絡を取るとなんでかカカシが拗ねるから仕方なくだ。いきなりですまないな、とりあえず良い酒を持ってきた。都付近のあの辺りは水が清いから良い酒ができる」
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