気まぐれ わずかに痛む右腕とお腹を軽く抑えるアリス。ちょうど23:00を過ぎた時間の廊下は誰もおらず、普段は遠くから聞こえる賑やかな声が嘘だと思うぐらい静かである。
だが、これくらいがちょうどいいと思いながらアリスは食堂に向かっていた。
ここ数日、アリスは満足に食事を取れていなかった。足や腕ならともかく、お腹を貫通していた以上、ゼリーやヨーグルトと言った限られた食事しか口にすることができず、物足りなさを感じていた。
せめてもの反抗(という名の意地)として何か固形物でも食べてやろうと、誰もいないであろう時間にこうして足を運んでいた…のだが。
「あ」
「は、なんでここにいるわけ?」
本当に驚き、同時に呆れたような態度を取るのは同じく才能を認められた生徒、和泉である。
1818