「遊園地?」
「ああ。お前もうすぐ誕生日だろ?チケット買ったから行こうぜ。」
義弟は硬い表情で一方的に告げると、さっさと部屋に戻ってしまった。濃紺の、男にしては珍しい長髪がサラリと揺れる。
普段は軽率な笑みを浮かべて嫌というほど絡んでくる彼が、まるで僕の返事なんか必要ないみたいな態度を取ることに少しだけ不満を抱く。が、せっかく彼が誕生日を祝おうとしてくれているのだからと思い直した。もしかしたら柄にもなく緊張しているのかもしれないな、なんて思いながら冷蔵庫を開く。10代ももう直ぐ終わると言うのに、僕の食欲はいつまでも成長期の少年のように旺盛だった。ガイアも理解はしてくれているが、とはいえ勝手に食材を使いすぎると彼も困るだろう。少し迷った後、何も取らずにキッチンを後にする。どうせしばらくしたら夕食の時間なのだ、それまでは我慢すればいい。
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