絶対的、 俺、大きくなったらヒーローになるのが夢なんだ!
少年は深い紫色をした眼にきらりきらりと眩い光を映しながら、そう言って笑った。
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「研究者になることが夢というわけではなかったのですわね」
「ね~、ちょっと意外。生まれながらのマッドサイエンティスト(笑)志望かと思ってた」
敵の攻撃を受けた博士が子どもになるという珍事から一晩明けて、研究所は緩やかな日常を取り戻していた。
子どもに戻ってしまった博士は大人であった自分の記憶を失っており、はてさてどうしたものかと途方に暮れたまま眠りについたものの、次の日の朝には博士はすっかりいつも通りの姿に戻っていたのだ。
「な~んだ」「もう少しあの可愛らしいお姿の博士が見ていたかったですわ」「心配してソンしちゃった」などと口々に言いながら、ベルミもオリヴィエも、そしてセイラも心底ほっとしていたことを博士には言えないままでいる。
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