花冠 ルシウス・マルフォイは絆されている自覚があった。
誰にって、それはもちろんグリフィンドールきってのお抱え問題児、ジェームズ・ポッターに。
ホグワーツに入学する前のルシウスの世界は、モノクロか、そうでなくともひどく彩度の低いもので。マルフォイ家の嫡男として恥ずかしくない人間に育てるために施されていた教育はそれなりに大変なものであったが、幼い頃のルシウスには、ソレの大変さよりも退屈さがただただ苦痛だった。
友人は全て父上が選定している上、損得勘定をベースにした関係を築いている為親しい友もおらず。父上との間にプライベートな雑談などなく、幸せな家庭のモデルケースのような穏やかな一家団欒などない。
幼いルシウスには、とても、それは退屈な日々だった。せめて少しでも愛情をくれたらと、齢一桁にして何度も願った。
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