無題 私は今床と溶け合っている。もう自分の境界が分からない。微睡む意識は私の頭を優しく溶かして、ぐちゃぐちゃに歪んだ床に零れ落ちていく。
「先輩、本当にごめんなさい…私のせいで」
ずっと後悔していた。私があの時怪我をしなければ、あの時自転車で突っ込むような真似をしなければ、
先輩は今頃まだ平穏な日常を夢見て私と将来について話していたかもしれないのに、死ぬのは私だけで済んだのかもしれないのに。
また吐き気が押し寄せてくる。私の傍に転がった薬の瓶にもうほとんど薬は無くて。
いつからか自己嫌悪で始めてしまった、所詮ODと言うものだ。こんなことしても先輩は幸せにならないのに、報われるわけないのに。それでも現実を受け入れられない私は、許されたい一心で錠剤を飲んだ。
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