薬師の恋仲日記8月30日
朝は少しひんやりしていて風が気持ちよかった。
義経様と互いの熱を分け合って過ごした昨夜。
体にはいたるところに痕がある。
少し気恥ずかしい。でも義経様の深い愛情を感じられた。
散歩にでも出ようと起こさないように褥から思ったら
『由乃……まだ早い』
と義経様に抱きしめられ、しばらく身動き出来なかった。
毎回のことである。
義経様は朝に弱い。
そしていつになく妙な色香をまとい、寝起き特有の少し掠れたような低めの声に毎回ドキドキさせられる。全く慣れない。多分誰も知らない。
私だけに見せる顔だろう。
義経様の腕の中は心地よくて、この世で最も安心出来る大好きな場所。叶うならずっとこのままでもいい。
いい……けど、そうじゃないの由乃!
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