いい色になったとか絶対に思ってない「……フフ……そろそろヤバいかも………」
請け負った弁護依頼に向け集めた資料を読み漁り出してから恐らく数時間が経過している。別に時計も何も見ていないが、こういう時先に根を上げるのは決まって僕じゃなくてダンテだ。文系を自称しながら僕より活字に強くなくてどうするという訴えはとうの昔に「書くことと読み続けることはまた別物なのだよ小僧」と返事が出されていた。それは反論にしては弱いんじゃないかネ、仮にも弁護士だというのに。
モリアーティ、私気分転換にワインが飲みたい。いつもならそんなことを言い出してふらりと部屋を立ち去ることがほとんどだというダンテは今日は珍しく限界を訴えてからソファを立ち上がる気が無いらしい。ヤバいという訴えを出してから数分、手に持つ資料の奥の人影が動く気配が感じられない。
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