師弟SSシーラフェイン伯爵家の依頼を受け、魔塔の治癒魔術師であるユリシスは大急ぎで屋敷に駆けつけた。
まだ幼い息子が事故で大怪我を負ってしまった。助けてほしい、と。
貴族らしい豪華な部屋のベッドに、包帯を巻かれた痛々しい姿の少年が横たわっていた。
5歳くらいだろうか。名はカイゼル。由緒ある伯爵家の次男である。
痛みのせいか苦しそうに呼吸をしている。
「命に別状はないようだが、骨折が酷いな。放っておいたら歩けなくなる。伯爵様、魔力治療で後遺症が残らないよう治しますのでご安心を」
診察を見守っていた伯爵と伯爵夫人は安堵したようだった。
「ご子息はまだ幼く、魔力の受容器官が安定していません。一気に強力な治癒魔法をかけるより、数日に分けた方が安全かと」
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