『星降る雨空』
「あ、雨…」
早朝からの仕事を終え、まだ日も高い時間に帰路へつこうとしたダイダラボッチは、空を見上げ、肩を落とした。
「午後は折りたたみ傘があると安心ですね」
朝の一コマを思い出す。
それを聞いたところで家を出た後なのだから、自分にとってはあまり意味がない。
彼の予報通り、小雨だ。たいしたことはない。濡れて帰ろう。
踏み出した足は、自分の名前を呼ぶ声に引き留められた。
「ダイダラボッチさん!」
有能な気象予報士が駆け寄ってくる。
「傘、ないのでしょう。入りませんか?」
オモイカネの手にあるのは当然、折りたたみ傘。
「あ、いや、オレは大丈夫…」
大人の男二人で使うには折りたたみ傘は小さすぎる。
そもそも、例え大きい傘でも大人の男二人で使うのはいかがなものか。
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