Peek mirror Magic◇◆◇
深海を思わせる緑青がかった黒髪が、これまた大海原のうねりのように豊かに波打っている。
毛先を弄ぶ白魚のような指の動きは実に艶めかしく、時々そこから離れ、焦らすかの如くアイスティーのストローに移る。
豊満な胸元を露わにし、もはや見せつけているのではないか、と思わせるまでに短いスカートから突き出した生白い両脚を組み直す。
かつてよく利用していたビジネスホテル傍のファミレスで、俺は今、いかにも男好きしそうな美女と向かい合っている。
こんな女に劣情を懐かないのは、男としてよほど何かが欠落しているか、さもなくばそもそも「女に興味が無い」か、どちらかなのではないのか……おそらく、大多数の人間はそう思うに違いない。
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