休日には雨やどりを 懐かしい夢をみた。
いや、懐かしい、というのも違うかもしれない。
ぱたり、ぱたりと大粒の雨が頭上の透明なビニールをたたく音、霞む景色、じっとりと肌にまとわりつく空気、濡れた肩先。やけに雨音は響くのに、隣を歩くひとの声は聞こえない。その顔も、三十センチと離れていないのに、空と同じようにぼんやりと滲んでいる。身長差で少し下にある顔が笑っているのか、怒っているのかさえわからない。けれど不思議と不安は感じなかった。きっとよく知っている相手なんだろう。それに、軽く腕を伸ばして傘を差し掛けてくれているひとに、悪意などある筈がなかった。
目を眇めても、肝心なところにピントが合わない。もどかしさに、片手を伸ばしたところで——ふつりとその映像は途切れた。
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