2/152/14の夜
こんな日に何の意味があるのか。自分は何を期待していたのか。小さくため息を吐いた。何も変わらない日曜日だった。それだけだった。
6人部屋の俺の部屋。日付を超えた今、彼らの寝息だけが響く。真っ暗の部屋に目が慣れて、薄くぼやけた視界。壁側の枕の隅に置かれた小さな箱。巻かれた赤いリボンは、この暗さでは黒く形だけを残す。
合宿所の空調設備は就寝中は使えない。普段腹立たしいだけのこのルールも、今日に限っては幸運だと思った。この季節の寒さなら朝まで溶けることはないだろう。それともこれは不幸だろうか。いっそのこと全て溶けて、捨てることができればいくらかは楽かもしれない。
本来ならばココではない。204号室に在るべきだったこの箱。昨日夜な夜な作ったチョコは、小さな小さな一粒だけ。原因は、一つしか成功しなかったことと、誰かにみられるリスクを回避するためにキッチンに立つ時間は10分と決めていたから。完成したブツを見られないようにわざわざ縮地法で部屋まで戻っというのに。
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