黎明のミハニがオンパロスの空を煌々と照らす範囲は限られている。[[rb:恩寵受けし都 > オクヘイマ]]から離れれば一瞬にして世界は永遠の闇夜に包まれ、そこでは死が隣人となる。狂った神の眷属、どこからともなく訪れた世界を蝕み続ける病、重圧に押し潰された人々の狂気。それらがもたらす死の瞬間を今か今かと待ち続けるぽっかりと開いた深淵への入り口を縫いつける術はこの世界にはない。
だがそれを世界の当たり前として受け入れたくはなかった。理不尽に命を奪われることなどあってはならないとファイノンは否定する。『救世主』に齎された預言通り、再創生の終点に辿り着けるのがただ1人だけだとしても。ファイノンはその身を焦がし、今日も剣を振るう。
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