エアコン壊れた「帰る!!!」
28℃を越した夏の日、入鹿の安アパートに大声が響きわたる。
「待って待って、いいやん別に」
入鹿は玄関前に立つ鳴を気怠げな顔で見下ろす。春頃まで来ていた長シャツを脱ぎ、いつもの(鳴にとっては理解不能な、つまりクソダサい)白Tの袖を捲り上げタンクトップのようにして。
「全ッ然良くない!なんでクソ暑い中来たのにわざわざエアコン壊れた部屋にいなきゃいけないわけ?」
「しゃーないやろ。壊れたもんは壊れたんやから」
「じゃ、俺はエアコンない部屋にはいたくないから帰ったっていいよね?」
鳴は入鹿をにらんですぐさま踵を返そうとするが、がしっと入鹿がその腕を掴む。
「なぁ〜久々やろ」
「知らないよそんなの」
「…扇風機はあるし」
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