初心なタル② 斯くして、鍾離とタルタリヤの奇妙な契約関係が始まった。
案の定と言うべきか、その後もタルタリヤは挨拶をするような気軽さで鍾離と接吻を交わした。待ち合わせ場所に現れたとき、三杯酔で酒を酌み交わしているとき、別れ際の余韻に乗じて「せーんせ、今日の分」と児戯のように唇を触れさせる。確かにスネージナヤには唇を寄せて挨拶をする習慣があるようだが、それはあくまで頬にであって断じて唇にではないはずだ。しかし、そんなことをこの男に言ったところで犬に論語なのだろうなと、タルタリヤの接吻を受けながら鍾離は薄ぼんやりと考えた。
別に、それならそれで構わない。元より、到底達成不可能な条件を提示して諦めさせようという魂胆でもない。そのつもりなら接吻などと生温いことは言わずに、体の一つでも要求した方が手っ取り早かっただろう(今のタルタリヤの様子を見るに、それでも簡単に股を開きそうなところはあるが……)。
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