1、2、3、1空咳がひとつ、障子の向こうから聞こえてきた。
つま先が冷え固まる感覚を確かめながら、1歩を踏み出す。全身が年の瀬を感じ始める。こたつでかじかんだ足を伸ばしてみかんを食べる。ちょっと酸味があって、美味しい。
暗くした部屋でわははとテレビを見ては、1人。
ぷつん。テレビを消して1人。空咳が聞こえたような、気が、した。
空咳が1つ。
鼻歌を口ずさみながら鍋をゆったりとかき混ぜる。だんだんお玉をマイクにして全力で歌う。ポーズをとった瞬間に黒い無機物になったテレビ越しの私と目が合う。
虚ろな空間に耐えられないのか、自分でもよく分からなくて、作り置きの卵スープを飲む。
「あっつ!?!?あちゃー、温めすぎたかぁ」
猫舌の私には熱すぎて舌がヒリヒリとする。小学校の頃から変わらない私に呆れちゃう。
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