明白の花 唖然とした。
ポストにウェディングブーケがねじ込まれていたのだ。可憐な花々が上品なレースのリボンで束ねられたラウンドブーケ。それが自室のポストに荒々しく突き刺さっている。月明かりに照らされた純白の花弁が、黒々とした金属製の扉にミスマッチだ。だからだろうか。祝福の象徴であるはずのそれが打ち捨てられた生ゴミのように目に映った。
「というワケで来たのだ」
翌日、日も傾きはじめた時分。
御剣は、成歩堂の事務所を訪れていた。とはいえ、アポ無しの訪問ゆえに、目当ての成歩堂は不在である。留守を預かっていた真宵に世間話がてら用件を伝えていたわけだが。
「えーっと、どういうことですか? なるほどくんに相談しにきたってことです?」
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