奈落の連理 静かだった空間に突如として何かの咆哮と破壊音が響き、土煙が噴き上がる。直後、それを掻き分けるように飛び出した二人の男女が全速力で咆哮の主から距離を取ろうと駆けていた。
「メグミ! それ落とすんじゃないわよ!」
「分かってるッ」
子どもから大人へなりつつあるくらいの見目をした彼等。メグミは腕に収めた今日の成果……アビスと呼ばれるこの大穴に眠る遺物をガッチリと抱え直す。
彼等は探掘家だ。謎だらけの大穴(アビス)へ潜り、調査し、遺物を持ち帰るのが主な仕事。見習い(赤笛)から抜け出してようやく一人前(蒼笛)となったが、師や先輩や友人にも恵まれ、徐々に経験を積んでいる所である。
「てかあの馬鹿どこ居るの!? デートか? またデートなのか!?」
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