ビコーズウィーキャン,キャン,キャン,キャン,
イエス ウィーキャン, キャン,キャン,キャン,
キャン,キャン,キャン,キャン
(俺たちは出来る、そうだ、俺たちは出来る。この会場にここまで来た。俺たちは出来る)
手から汗が止まらず、情けない程心臓が跳ねる。もうすぐ出番だというのに未だに落ち着く事のない心臓を抱えて胸が苦しくなる。盛大なファンファーレと共におなじみの出囃子が革靴を震わせる程の音量で響いてきた。プレッシャーで潰されてしまいそうだ。エントリーナンバーが刻まれた胸のバッヂを握る。
「俺様とお前さんならいける。問題ない」
霊幻の頭の上から無駄な美声が降り注ぐ。声の主は金髪の上に手を置き、ポン、と一つ叩いた。目つきの悪い男は緊張感の漂う横顔を見せ、薄い唇を引き結んでいる。
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