太陽に焦がれ、太陽を盗んだ男「あーあ、俺もうダメみたいだ」
既にモノクロになった空を見ながら、俺は赤に濡れた液体と共に口から溢した。
油断はしてないつもりだったんだけどなぁ。
所詮「つもり」なだけでできてなければ意味がないのだ。それは自分が良く知っている。
そして、俺はもう長くないのだということもわかっている。
「ミラちゃん……ごめんね。あとは……」
彼女の髪に触れて、そして
この手はミラの頬に触れることなく、するりと滑り落ちる。
最後まで、ミラちゃんを悲しませて、怒らせてしまった。ごめんね、ミラちゃん。
でも俺、幸せだった。
君に愛されて、愛して……
君との生活はとても幸せに溢れてた。
だからもう思い残すことはないんだ。
あとは君の選択に委ねるよ、ミラちゃん。
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