『年若い提督と、老練な将官との会話』始まりは確かに深海棲艦の出現だった。
知っての通り奴らは先の大戦で沈んだ艦の怨念が具現化したものだ。
だが、我らが今まさに戦っているのは、何十年も前に沈み今や海の底で朽ちるのを待つだけの艦などではない。
──どこから話そうか。
深海棲艦の出現後、世界は混乱を極めた。
沿岸部の町々は襲われ、破壊され、人々は捕食された。そして海そのものによる陸地の浸食も始まった。これらの事態に可及的速やかに対処しなければならなかった我々には、手段を選んでいる時間的余裕も、物的余裕も一切与えられなかった。
そして混乱の中、秘密裏に少女達が集められた。挺身隊という名で彼女達が集められた理由、それは彼女達が事態を打開する切り札になり得るというものだった。
1965