俳優パロのマイ武「ひ……いや、だ、こないで、」
じり、じりと口元に薄ら笑みを浮かべた男が歩み寄ってくる。
その手には刃物が握り締められていて、既に赤黒い血がべっとりと塗り付いている。
薄暗く埃っぽい床に手をつき、後退りするさまがひどく滑稽で面白いようだ。
男は益々笑みを深め、嘲るように声を弾ませた。
「なるべく声あげてくれよ。俺、死ぬ間際の命乞いが好きなんだァ!!」
「や、だ、やめて、こないでっ、うわあああああ!!!!」
ズブリ
その場に似つかわしくない間抜けな音が鳴り、腹部の布が赤く染まっていく。
真正面を見据える男の顔は満足気に歪められていて、ああオレの人生なんてこんなもんか、とから笑いしながら昏々と死の眠りについた。
「はいカットー」
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