俺たちのタチネコ戦争拗れに拗れた長年の片想いを実らせ、めでたく恋人同士となった彼らの前に今、大きな問題が起こっていた。
「えーっと?イヌピー??」
文字通り押し倒され、自分の上に跨る乾に九井はこめかみをひくつかせながら問うた。
この数秒前、九井は自ら仕掛けに出ていた。ベッドの上で向かい合い、やさしくキスをしたのは九井なりの合図ーー今から抱きますがよろしいですか?という控えめな合図だ。だが、その合図をぶっちぎられ勢い任せに押し倒され今に至る。
「ヤるんだろ。」
「...イヌピーが言うと違う意味に聞こえんだけど」
行為への同意、それは恋人同士最上級の愛の契りーーーつまり、セックスを乾が了承していることに九井はひとまず安堵した。が、それも一瞬の話だ。抱く気満々でいた九井の出鼻を挫くどころかへし折られた状況に「俺、もしかして抱かれんの?」と困惑を口にする。
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