ひたりと触れる背中。ぽこぽことした背骨が当たる部分がこそばゆい気がして僅かに腹筋が動いた。
「ん?なに?」
「研磨。ちゃんと食ってる?」
「食べてるでしょ。さっきもお蕎麦食べたじゃん」
「そーね」
とぷんと沈めた湯の中で指を絡めたり親指の付け根辺をむにむにと揉んだりひとしきり黒尾の手で遊ぶ。
熱すぎずゆったり浸かって居られる湯加減がじわじわと身体の疲れを癒していく。
濡れ髪の張り付いた項に鼻先を付けると最近変えたトリートメントの香りがした。
「なんでコレに変えたんだ?」
「いやだった?」
「そうでもないけど。こういうのそんなに拘る方じゃないだろ?」
黒尾が覗き込むように身を傾けながら耳朶を齧ると湯を波だてながら研磨が身体を回し向かい合った。
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