ざんげの値打ちもない#どこ?どこ?
ハイラが仲間の衛士と世間話をしていると、訓練場の入り口に見知った人物が現れた。城に突如として現れたもうひとりの寵愛者ことレハトだった。
訓練場にはにわかに緊張が走ったが、レハト本人はそんな空気を感じ取った様子は少しもない。彼が訓練場に通うようになってしばらく経つのだから、いい加減に慣れればいいのにさぁ、とハイラは毎回思ったが口にしたことはなかった。レハトはぎこちない動きで訓練を続ける衛士たちをくぐり抜けながら目線をきょろきょろと動かし、目当ての人物を探している。
「あいつ今日警備だろ」
「誰か教えてこいよ」
仲間たちもレハトの動向を見守っていたらしく、責任の押し付けあいを始めた。寵愛者というだけでも腫れ物扱いは必至だというのに、かの寵愛者様は先月の御前試合で優勝を勝ち取っていた。
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