無題何故こんな状況に至ってしまったのか。
自分をメサイアから連れ出した青年を組み敷いたまま考える。
”夢のたったひとり”
”最高のコーディネイター”
そう称した人間はなんと傲慢なことだろうか。
呆然自失のまま、あの場所で死ぬものだと思った自分を強引に連れ出してしまったのだから。
怒りなのか何かも自分自身でも名前を付けられない感情のままに、引き倒して組み敷いてしまったのだったか。
だが、そんな状況でもその彼は頼りなくも優しげな表情は崩さない。
「きみも、明日が欲しかったんでしょう?」
ぽつりと掛けられた一言に、ようやく平素の落ち着きを取り戻そうとしていた心がまた波打つのを感じる。
「俺は…あの場所で死ぬはずだった!!」
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