空模様は晴れ。波は穏やか、風も順風。男二人を乗せた船は、次の島へすいすい進んでいる。
ここは東の海。小さな島々が集まってできた群島。観光地として賑わう島もあれば、鬱蒼とした無人島まである。そんなたくさんの島々の一つ、男たちの目的地である、交易で栄えた島に船は到着する。
船が港に入ると、ガヤガヤとした街の喧騒に包まれる。ひさびさ、という程でもないが、同船者以外の人の声は新鮮に聞こえる。男二人の航海とは、また違った騒がしさだ。
港のすぐそばに、繁華街がある。この島で一番賑わっている場所だ。交易の島なだけあって、様々な店舗があり、種々の商品がある。色とりどりの石畳の上を、多くの人が歩いている。商人や買い物客が多いようだが、薄暗い路地に入れば、武器を持ったごろつきや海賊たち。この時代にはよくある、手放しで治安がいいとは言い切れないような街だ。
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