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    sio_kaze_01

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    まだ二人だったころのはなし。を書こうとしてた。続きは思いつかない。またオリキャラがいる。
    ナンパするレイリーさんが見たかった。成功率高そう。

    ##レイリー
    ##ロジャー
    ##OP

    空模様は晴れ。波は穏やか、風も順風。男二人を乗せた船は、次の島へすいすい進んでいる。
    ここは東の海。小さな島々が集まってできた群島。観光地として賑わう島もあれば、鬱蒼とした無人島まである。そんなたくさんの島々の一つ、男たちの目的地である、交易で栄えた島に船は到着する。

    船が港に入ると、ガヤガヤとした街の喧騒に包まれる。ひさびさ、という程でもないが、同船者以外の人の声は新鮮に聞こえる。男二人の航海とは、また違った騒がしさだ。
    港のすぐそばに、繁華街がある。この島で一番賑わっている場所だ。交易の島なだけあって、様々な店舗があり、種々の商品がある。色とりどりの石畳の上を、多くの人が歩いている。商人や買い物客が多いようだが、薄暗い路地に入れば、武器を持ったごろつきや海賊たち。この時代にはよくある、手放しで治安がいいとは言い切れないような街だ。

    そんな街の中、太陽をキラキラ反射する金髪を後ろに撫でつけた、精悍な顔の男が通りを見物していた。愛嬌のある丸い眼鏡の下で、キョロキョロと目線を動かし、目当てのものを探している。
    「こんにちは。黒髪の似合う、綺麗なお嬢さん。少し困っているのですが、」
    男は女性に近づくと、おねがいするように声をかけた。肩までの真っ直ぐな黒髪で、色白の若い女性が、少し驚いた様子で足を止める。しかし、太陽を反射して輝く水面のような美しい男の参った様子に、小さな頭を傾げて、どうしたのですか?と微笑む。黒髪がふわりとゆれて、リンゴのようなすっきりとした甘い匂いが、鼻をくすぐる。

    「ありがとう。私は旅をしており、この街は初めてなのです。なので、おすすめの飲食店を教えていただければ、と思いまして。」
    金髪の男はにこり、と首を傾げ頭を掻いて笑った。
    なるほど確かに、旅人からは柔らかい物腰とは似つかないたくましい筋肉に、香水に混じって海のにおいがする。やはり、海を進む男には独特の雰囲気があるのだなぁ、と女性は感心する。彼女は、いいですよ。と、この町で一番美味しく、人気のある飲食店を紹介した。
    「けれど、道が少し複雑で………。もし、お嫌でなければ、ご一緒しませんか?私もお昼ご飯まだなんです。実は、お腹もペコペコで。」
    黒髪の女性は照れたように笑い、お腹をきゅっと押さえて、金髪の男性を見上げる。本当は、飲食店へは簡単に行けるのだが、旅人との食事を取り付けるため、女性はかわいい嘘をついたのだった。
    「良いんですか?実は、少し期待していたのです。一人で食べるのは寂しいと思っていたので、ぜひ、、、」

    金髪の男性がはにかみながら、手を差し伸べようとする。すると、街中に爆発音が響く。爆音と爆風に周囲は騒然となった。男性は咄嗟に女性をかばい、女性はきゃあ!と叫び、爆発した方向を反射的に見る。建物が崩れる音と、男たちの怒号。その男たちはこちらへ躍起になって走ってくる。よく見ると、一人の男が、スーツを着たガラの悪そうな男たちに追われているようだった。

    近くにいた通行人たちも一様に驚き、逃げ出す者もいる。私たちも一緒に離れよう、と女性が、男性を見上げる。金髪の男性は先程までの穏やかな笑顔とは一変して、しかめっ面をしていた。目線の先には、逃げている男がいる。女性は先程までと違う態度に困惑しつつも、焦りながら言う。
    「あの、旅人さん!?」
    「あぁ、すみません。少しビックリしまして。危ないので逃げましょう。」
    男性がそう言うと、女性の手を取り近場の店へ入ろうとした。すでに、周りには人がいない。手近な店に入ったか、道の端に寄って、戦々恐々としている。

    「あーー!!!!レーーイリーーーーーー!!!!!!」
    荒くれ者たちの怒号や人々のざわめきに負けない大声で、追われている男が手を振り名前を呼ぶ。危機感を全く感じさせない、明るい声だ。それも、金髪の男性に向かって。
    女性は大きな猫目を見開き、お知り合いですか?と尋ねる。指差した追われている男は、ガラの悪そうな男たちとかなりの差をつけている。きっと足が速いのだろう。
    「いいえ、人違いだと思います。さあ、危ないので早く、、、」
    男性は強い口調で断言すると、女性の背中に手をあて、店へと促した。

    女性が気圧され、不思議に思いながらも店へ入ろうとすると、
    「無視すんな!レイリー!!」
    至近距離で追われていた男の声がした。二人が驚き思わず振り返ると、麦わら帽子をかぶった男が、太陽みたいにまぶしい満面の笑みで、金髪の男性の後ろに立っている。
    「行くぞ、レイリー!!ってことで、ごめんな!後ろの姉ちゃん!」
    「おい、ロジャー!何をする!おろせ!!」
    唖然としていた男性を軽々しく抱え、女性に向かって片手を挙げている。抱えられた男性の方は、ジタバタしていたが、逃げられないことを悟り、女性に向かって苦々しく笑った。
    「ごめんね。機会があればまた今度。」
    「じゃあ、出発しんこー-!!」
    言うや否や、もの凄い速さで港の方へと走り出してしまった。風が通り抜け、女性の髪とスカートがぶわりと揺れる。

    「クソッ、見失った!」
    「チクショウ、逃げられたか!」
    もう通りには、巻き込まれまいと離れている通行人たちと、麦わら帽子の男に逃げられたガラの悪い男たちしかいない。ガラの悪い男たちは、ハアハアと息を切らしながらグチグチ悪態をついていたが、女性を見ると、威圧的な態度をとった。
    「おい、お前。さっき麦わらの男と一緒にいたよな?どんな関係だ。」
    「どんな関係でもないわ。初対面だもの。もう、いいかしら?」
    「!オイ馬鹿やめろ!その人は……」
    苛立ちのこもった男の質問に、女性は涼しい顔で答える。男はさらに腹を立て、声を荒げる。しかし、他の男の耳打ちに目を見開き、さっと顔を青くし、汗をだらだら流しながら、平謝りする。
    「申し訳ございません!!まだ新人で、あなたのことを存じ上げておらず!」
    女性は謝罪に片手を挙げて返事をし、他の男たちに何か指図して、面倒ごとを避けるように通りから離れた。
    「あの方、レイリーとおっしゃるのね。また、逢いたいわ。」
    女性は微笑み、そう呟いた。

    「ロジャー!!お前のせいでナンパ失敗したじゃねぇか!!あと少しだったのに!!!」
    「だから、悪かったって言ってるだろ!機嫌直してくれよ、レイリー!!」
    二人は、レイリーが住んでいた船を波に揺らしながら、大声で怒鳴りあっている。最も、怒っているのはレイリーだけで、ロジャーは謝りたおしていた。しかし、島を出てからずっと青筋を立てるのにも疲れたレイリーは、許すようにため息を一つ。
    「はぁ。まあ、食い物は近くの島で調達するか。………で、なんでお前は追われてたんだ?ロジャー。」
    「それがな、聞いてくれよレイリー!!」
    ロジャーはさも不満げに、大げさに身振り手振りを加えて、語り始めた。
    「店で飯を食ってたんだ。そしたら、酔っぱらったチンピラ?海賊?達が絡んできてよお。そっから喧嘩が始まってな!あとは見た通りの大爆発で、追われながら逃げて来たんだ!」
    あそこの飯はうまかったなあ!今度一緒に行こう!と、笑顔で話し終える。ついさっきまで不満げだったのに、もう笑っている。話の内容もだが、コロコロ変わるロジャーの機嫌に呆れながら笑う。
    「今度機会があれば、な。まあ、ナンパするのに忙しいだろうが。」
    「また、ナンパかよ!いつも同じことして飽きねえのか?レイリー。」
    「バカだな、違う女の子だから同じじゃねえよ。」
    なんか、その言い方スケコマシっぽいな。とロジャーがおちょくると、博愛主義者と呼べ。とレイリーは言い返した。

    ぼんやりとしていた島の形が徐々にはっきりと現れ、二人は色めきだった声を上げた。ロジャーが指差した島を、レイリーは望遠鏡で覗きながら言う。
    「んー、人が住んでいるようには見えないが、まあ、食料は見つかるだろう。さっきの島でやるはずだった食料調達もまだだしな。」
    「何があるかなー。めちゃくちゃ美味いもんないかなぁ。」
    とワクワクしているロジャーを横目に、レイリーはごく最近、本来の用途で使うようになった船を無人島へと進める。

    いっちばーん!!と大声で叫びながらザバン!と飛び込むロジャーに続いて、レイリーも碇を下ろして、船から飛び降りた。
    「二人しかいないんだから、1番も2番もないだろう。」
    「いいんだよ、そんなこと。それより探索しようぜ!見たとこ無人島みたいだし、変な生き物がいるかもしれない!」
    見るからにわくわくしているロジャーは、もう待てない!と走り出し、鬱蒼とした森に突っ込んでいった。そんな様子のロジャーにレイリーはため息をついて、ロジャーのあとを走る。
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