黒狐嬰の限界子育て(姑蘇藍氏大混乱)最近産気づいたある狐…姑蘇藍氏、かの含光君の同侶は考えた。己の住んでいるこの場所は今、婚姻を結ぶことすら難儀する少しばかり息苦しい状態にある。
万が一にもこれから産もうって時に難癖をつけられでもしたら…その時の己の精神的余裕次第で憤怒しかねない。
「それはマズイ」
善は急げと支度を整え、簡素な書き置きを残した狐はひとつ大切なことを忘れていた。
「うぇ…うぇい、いん………」
藍湛っては魏無羨を前にするとポンコツになりがちである。(本人談)
ーーーーーー
姑蘇藍氏の子弟達に大人気の黒狐…魏無羨の行方不明に心を痛めていたところ、夜狩へ出ることになった子龍達は帰路にあった。
「魏先輩…お帰りになってたりしないかな?」
ぽつりと一人の子龍が呟く。
878