ある夏のあつさ ひまわりが咲いていた。背筋をぴんと伸ばして、陽に向かって力強く咲いている。
とはいえここは都心なので、広大な花畑というわけではない。緑化活動の一環だろうか。街路樹として歩道に沿って植えられたそれらは、見事に咲き誇っていた。
このビルばかりの都会には人気のカフェだとか楽しいイベントは沢山あるが、それらと引き換えになんの障害物にも遮られない青空も澄んだ空気も、思わず寝転びたくなるようなだだっ広い土地はない。それでもたまには、こんな風に綺麗に咲いた花を見て心が安らいだりもする。
深幸と礼音は偶然にも大学の休講日が被ったので、たまには外に昼食でも、という流れになり、その帰り道を歩いていた。
「そろそろ髪、染め直さなきゃな」
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