8±1=9^7花も似合うと。
束ねられたバラを持つアデルの姿に、ロルフは何時かの贈り物を密かに後悔した。
「おっ。おはようロルフ!相変わらず早起きだな」
「おはよう、アデル。それは?」
間を空けず花を指せば、問われたアデルは苦笑混じりに微笑む。
「何時ものお礼に誕生日のお祝いも兼ねてって、貰ったんだ。花瓶は持ってないんだが、…ロルフ?」
話す合間に丸くなった赤い目を何事かと覗き込んだ。
一度瞬くと、腕を組んでは花を見下ろして。それから、何かを探すように周囲を見渡した。
「…あ。もしかして欲しいとか?」
猟師として自然に感謝する彼のことだ、花も愛でているのかもしれない。
はい、と試しに一本。目と同じ色のバラを差し出したのだが、
「っす、まない急に。誕生日なのか?」
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