おやすみ夜がやってきた
生き物たちは皆自分の住処へ帰り、世界に等しく訪れる夜を静かに過ごす。
彼もまたその1人
草原地帯の端、かつて誰かが残した小さな洞穴で今日も寝床を整えていた。
「…………よし」
たくさんの藁を包むように布をかけた簡素な寝床、傍には小さなランタンと明かりのロウソク。掛けているケープにとろとろと温かな光があたり、出来た影が風で少しだけ揺れていた。
「ーーーー、ーーーー、、」
表から何やら聞こえてくる。
「ああ、またか
…………おいで、こっち」
見に行くと、数匹の蝶がうろうろと飛んでは何やら話をしていたようだ。
陽が落ちる前に温かなところへ行けなかったのだろう、これからどうしようかと算段をしているところを中に招かれて揚々と奥へ入っていくではないか。
750