ハッピーホリデー クローバー家では、ホリデーが終わってからがホリデーの本番になる。
ケーキ屋という家業のせいで、ホリデーに入るまで数週間前から当日まで馬車馬のロバだってこんなに働かないという位に動き回り、日付が変わる前にサンタを楽しみにする間もなく泥のように寝てしまう。
疲れで一歩も動きたくなくても、重たい瞼をこじ開けて目をしょぼつかせながらリビングに向かうのは、家に飾られた控えめなツリーの下にたくさんのおもちゃとプレゼントが置かれているからだ。そのせいでホリデーが近づくと憂鬱半分、期待半分という複雑な気持ちに毎年襲われる。
そんな人気のケーキ屋であるクローバー家の長女として生まれたが、一番上の兄が家業を継ぐことが約束されていたので、ホリデー前以外は責任もプレッシャーもなくのびのびと幼少期を過ごせていた。歯磨きを忘れたとき以外は優しい兄と、子分でもある陽気な弟と、優しい両親のお陰で不満はなかった。
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